Hibiscus’s blog

夫と娘との三人暮らし。あずきバーとガーデニングを愛し、日々の徒然や朝ドラの感想を気の向くままに。

朝ドラ「風、薫る」 第71話の愛ある感想 ~現代の緩和ケアと明治の医療〜看護婦・りんの行動は正しかったのか?~

 

さあ、恒例!今日の朝ドラ「風、薫る」 第71話

愛ある感想

 

山本さん…。合掌。

 

現代の終末患者としてみた場合、この山本さんの取った行動、

そして彼を介助し、家に連れて行ったりんの行動は至極真っ当なことかと。

 

実際、終末期に本人と家族の希望で帰宅し、

そこで過ごし看取られて旅立つ、

というケースもあると聞く。

または緩和病棟で過ごし、時々自宅に帰って家族と過ごす、

というケースも。

 

それは病院側の体制が整えられていればこそ。

調べてみると、

 

24時間365日対応の訪問診療医と

訪問看護師のチーム体制が不可欠。

痛みや苦痛の緩和ケアを受けながら、ケアマネージャーと連携して

家族の介護負担を軽減しながら

住み慣れた家での日々を過ごすことができる..。

 

これは現代の医療体制だからこそ。

明治の世、まだこのような現代の終末患者に対する制度は皆無。

医療従事者もそのような制度など知る由もない。

 

残された時間を、我が家で家族と過ごす、

これはおそらく、その立場になった者なら多くの患者が

そのように願うのだろう。

 

山本さんは、どうしても妻・テイさんに会いたかった。

妻に会って、嘘を言って安心させたかった。

「牛鍋を食ってきた」という嘘を。

これで、テイさんを安心させてやりたかった。

体調を崩し、山本さんに会いに行けなかったテイさん。

 

突然家に戻って来た山本さんと語り合い、

夫婦は共に、一晩床を並べて眠ることができた。

 

このシーンを見ていて、

よかったね、山本さん」

「旦那さんと共に時間を過ごせて良かったね、テイさん」

 

もういつ旅立ってもおかしくない状態で、

この自宅で夫婦ともに過ごすことができて、

夫婦共にこれなら思い残すことはないと…

そうみてしまった。

 

しかし…

病院に戻った途端、容体が急変した山本さんは、

りんの肩をつかみ、

 

「助けて...助け...」

 

そのまま息を引き取った山本さん…。合掌。

死期を悟ってはいても、やはり生きたかった。

生きたい...少しでも長く生きたかったのだ。

 

駆け付けたテイさんも激しく取り乱す。

彼女も、夫がもう長くはないとは覚悟はしていた。

しかし、こんな突然の別れが来るとは予想していなかった。

 

「またな」

「また」

 

と言って今朝別れた夫が、今はもう息していない。

激しく泣き崩れるテイさん。

 

夫婦共に、自宅で会えた、もう思い残すことはない、

という見方は、私の早計であった。

 

実際にこれは、当事者の身になってみなければ

わからない心境だろう。

残された時間がわずかとわかっていても、

 

山本さん の「助けて...助け...」という最期の言葉。

     (生きたい、少しでも長く生きたい)、

 

そしてテイさん のただ生きていてくれればいい、

寝ているだけでも、息していてくれるだけでもいい」

という、痛切なる願い。

 

思い残すことがない、というのは外野の勝手な思い込みで、

「生きたい」「生きていて欲しい」

これが夫婦の真の願いだったのだ。

 

ではりんの取った行動はどうだったのだろうか...。

りんは、山本さんの「妻に会いたい」という気持ちに全力で寄り添った。

 

誰かに相談すれば、絶対止められたであろう行動。

結果、夫婦は会えて貴重なひと時を過ごすことができた。

 

しかし、その後の容体の急変までは予測できなかった。

そしてそれを受け入れられる気持ちも整っていなかった。

 

山本さんを自宅に連れ帰ったことで、

それが原因で病状が早く悪化したのなら…。

しかし、病院で過ごしていても突然病状が悪化することもある。

テイさんとお別れができないこともある…。

 

そのような状態で、りんの取った行動は?

ただ、山本さんの希望をかなえてテイさんに会わせてやりたい、

その時に、人として死期の迫っている患者の願いなら…

という気持ちを優先させたりんの行動は?

 

看護婦として、医師の言うことに従い、

病院で一看護婦に徹していたならば、どうだったのだろう?

医師は従来通りに任務を果たす。

テイさんは、病院と先生に感謝したのだろうか?

例え悲しみに暮れようと…。

そして、傍で見守っていた看護婦としてのりんは?

割り切れない思いを抱えながらも、

また新たな患者を看護していく日々になるのだろうか…

 

明治の病院体制がまだまだの時代だからこそ、の話。

りんの取った行動は、マザーテレサを彷彿とさせる。

しかし、ここの帝都大附属病院は、マザーテレサの家ではない。

 

結論が出ないまま...

ただただ山本さんの安らかな旅立ちを願うばかり。

 

 

先週金曜日の記事、

のりんの葛藤と判断を思い返してしまいます...