Hibiscus’s blog

夫と娘との三人暮らし。あずきバーとガーデニングを愛し、日々の徒然や朝ドラの感想を気の向くままに。

一年前の桜、そして今日のロールキャベツ。

3月31日は雨が降るそうだ。

その後数日も、雨模様が続きそう。

 

ならば、前日のうちに行っておきたい場所があった。

 

行き先は、

母と娘と私の三人で行った公園である。

一年前の桜の季節、ちょうど今頃のことであった。

私が作ったお弁当を持って、お花見に行った。

 

母の車椅子を押して到着した公園。

見事な桜が咲き誇っていた。

巨大な傘のような桜の下にあるベンチ。

そこで、三人でお弁当を食べた。

 

炊き込みごはんのおにぎり、小松菜きのこの卵とじ、他。

母は、「おいしい、おいしい」と言って、

本当においしそうに食べてくれた。

 

桜が舞い散る中でお弁当を食べ、そして写真を撮った。

楽しく気持ちのいいお花見だった。

来年も母を連れて来よう。

当たり前のように、そう思っていた。

 

一年後の今、あの公園の桜は同じように咲き誇り、ベンチもあった。

桜は、あの時と同じように散り始めていた。

 

そこのベンチに座るが、傍らにはもう母はいない。

一年後に母がいなくなってしまうなんて、

あの時は思いもしなかった。

 

ハラリハラリ舞い落ちる桜を見上げながら、

涙がこぼれ落ちてくる。


もっともっと、母の元に通えばよかった。

母の旅立つ時期がわかっていたなら、

もっともっと、母に会いに行ったのに。

母は、まだまだ元気でいると、勝手に思い込んでいた自分。

なんて未熟だったのだろう。

 

孝行したい時に親はなし

 

このことわざが、痛いほど体に喰い込む。

何もわかっていなかった、自分は。

 

ただこみ上げてくる涙をそのままにしながら、

ひたすら顔を上げて桜を見続けていた。

 

ハラリハラリと絶え間なく桜の花びらが舞い降りてくる。

無数の命が散っていくかのよう。

 

その時、風に乗って、一輪まるごとの桜の花が私の胸元に飛び込んできた。

 

 


そっと手の上に乗せてみた。

花びら、一輪の花、次から次へと私の体に舞い降りてくる。

 

そしてふと見ると、ベンチの先に一羽のハトがこちらに向かってやって来た。

 

ハト…。

 

あっと思った。

母が旅立つ日のことである。

部屋の窓の外からじっと母を見ていたハトがいた。

「あれはきっと父だ」と確信した出来事があった。

 

参考記事

haibisukasu.hatenablog.jp

 

今、こちらに向かって来るハト。

母だ、母の魂だ、絶対そうだ。

慌てて写真を撮り、心の中で「ママ」と呼びかける。

 

 

と、その時、

「写真を撮ってあげましょうか」

 

振り向くと、年配の男性が声をかけてきた。

不慣れな手つきで、写真を撮ってくれて、その男性は去って行った。

 

考えたら、私のずっと先の真向かいに座っていた男性だった。

 

パパ?

そしてこのハトはママ?

ママだ、絶対ママだ。

二人で会いに来てくれたんだ。

 

涙が止まらない。

どのくらいそうしていただろうか。

ひたすら舞い落ちる桜を見続けていた。

 

 時間は経ち、帰宅した。

悲しくても、家に帰れば日常生活が待っている。

 

今日の夜ご飯は、ロールキャベツ。

玉ねぎを切り、次にニンジンを切り始めた時、

娘がやって来て、ニンジンを見て言った。

 

「ニンジン、私が切ろうか。

 この間、調理実習でやったから切れるよ」

 

驚いた。普段、中々自分からはやろうとはしない娘だ。

 

「野菜を切っていると、ママは喋ってくれないから、私が切る。

 そうしたら、ママと喋れるでしょ」

「え、娘が切っていたら、娘は喋れないじゃない?」

「あ、そうかー」

と娘は笑った。

 

何だか唐突だったが、とりあえず娘の行動は

私をまた現実に押し戻してくれた。

 

先程までのあまりに現実的でない世界から

一気に現世に引っ張り戻してくれたかのようだった。

 

明るく屈託のない娘の言葉、態度に、

まさに救われた思いである。

 

続いてシイタケまでどんどん細かく切ってくれている娘。

どうした、娘、いつもの娘とは思えない。

いや、いつもも明るく気持ちのいい娘であるが。

 

娘の絶え間なく続くお喋りは、まさに幸福な日常そのものだった。

母が望んでいたであろう幸せの風景。

 

こうして、ロールキャベツが出来上がった。

娘と私の合作ロールキャベツ。

 

母の事を思い悲しみに暮れていても、また「今」へ押し戻してくれる娘。

 

母も空からハラハラしながら私を見て、

そして孫娘の存在に喜んでいるに違いない。

 

ロールキャベツ、おいしかったな。

 

また一年後、母と語り合いたいな、

その時は、今よりもう少し笑っている自分である事を願って。