つい先日、一通の封書が送られてきた。
封を開けて見て、あっと思った。
母の戦争体験を載せた文集だったのだ。
掲載されたんだ!
母は、私が子どもの頃から時折戦争の話をしてくれた。
今年の秋口位だっただろうか、
ある団体からの募集広告を見た時、
瞬時に、母の話をぜひ伝えたいと思った。
本人が高齢の場合、子孫の聴き取りでいいとのことだったので、
私は早速書いた。母の思いを込めて。
その後、ホームにいる母に会いに行った時に、その話をしてみた。
母は、その頃だいぶ弱っていてあまり話すことが出来なくなっていた。
「ママ、ママの戦争時代のあの話、
戦争体験文集に載せるために書いて送ったよ。
ほら、ママのよく話してくれたあの話を」
母は、その時確かに私の話を聞いてくれていた。
その後、まもなく母は弱っていき、そして旅立っていった。
今思えば、その話を聞いてもらえるギリギリの時期だったのだ。
不思議な話だ。
文集を開いてみる。
母だ。
文集の中に、確かに母がいた。
胸の奥がツーンとする。こみ上げてくるものがあった。
また母に会えた、母の魂が感じられた。
文集をそっとなでてみた。
母の旅立ちから3か月半余り。
突然送られてきた文集、まるで天からの贈り物みたいだ。
母が空から舞い戻ったような、
そんな感覚にとらわれた。
おりしも東京大空襲の日が近い。
あの時、母はおそらく防空壕にいたのだろう。
まだ幼かった母はどんなに恐かっただろう。
それでも生き延びて、私に命を繋いでくれた。
そして、私はまた娘に命を繋いでいる。
母は、私と娘の中にいるのだ。
ママ、ありがとうね。
やっぱり会いたいなあ、ママに。