私は小さなドラッグストアでパートをしている。
一年前にオープンしたこのドラッグストアは、
新規オープニングスタッフを募集していた。
渡りに船とばかりに応募し、幸いにも雇ってもらえた。
チェーン店ではあるが、店舗数は少ない。.
それでも店長をはじめ、会社の雰囲気はいい。
少し使い古された言い方だが、家族的でアットホームな空気が漂っている。
売り上げ拡大のため、さまざまな工夫もしていた。
手書きのポップ、関連商品のおすすめ。
レジ前の動線を考え抜いた商品配置。
相談しやすい店づくり。
地域密着型、常連を増やすための会員特典。
努力が実を結んだのか、客足は着実に伸び、売り上げも増えていった。
パートの私でさえ、売り上げに貢献できている気がして嬉しかった。
……なのに。
ある日、突然それはやって来た。
まるでペリーの黒船襲来のように。
そう、誰もが知るあの巨艦ドラッグストアが、
私たちの店の隣の空き店舗にやって来たのだ。
スタッフは悲鳴を上げた。
どうやって太刀打ちすればいいのか。
いや、無理だ。
店長をはじめスタッフは青くなった。
それでも、全力で立ち向かうしかない。
自分たちの店でできるベストを尽くそう、と誓った。
敵情視察に行く。
広大な売り場、圧倒的な品揃え。
オンラインでこれでもかと言わんばかりのクーポン。
そして、こちらよりさらに安い商品。
明らかに、隣の小さな店を潰しに来ている。
そう思わずにはいられなかった。
……どうしようもない。
パートの私にできるのは、
いつも通り笑顔で、素早く接客することだけだ。
やがて、我らが店は支払いが現金オンリーになった。
お客さんは「え?」という顔をする。
少しいたたまれない。
隣のあの店では、クレジットカードが当たり前のように使えるのに。
いつまでもつかわからない、この店。
ふと、次のパートのことが頭をよぎる。
家計の足しになる、大切な仕事だ。
いざという時に備え、動いておいた方がいいのかもしれない。
好きだったこのドラッグストア。
なんとか持ちこたえてくれるよう、願うばかりである。
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※これはフィクションです。
※作中の「私」は筆者本人ではありません。
ちょっと小説風に書いてみた。
これは、私がいつもいく”巨艦店” の隣にある
小さなドラッグストアの視点から書いてみた。
参考記事
この過去の記事では、小さなドラッグストアの隣に出来た、
超大手のドラッグストアの事を書いた。
なんて節操のない、ひどい、そんな思いだったのだが…。
気がつけば、私はこの超大手スーパーの常連となっていたのである。
それは、もうシンプルに安いから。
この物価上昇の昨今、
生活するためには家計を守らなければならない。
アットホームなドラッグストアもいいが、
そんなに余裕のない家計ならば、
少しでも安い店舗で買いたい、となってしまう。
その隣の店舗を見ながら、胸がチクリと痛む。
買ってあげられなくてごめんね、
そんな思いから、この小説仕立ての物語を書いてみた。
どうすればいいんだろうね、と答えのない問いを抱えながらも、
そのドラッグストアを通り過ぎて行く日々である。