つい最近の事、娘と病院に行った日のことである。
初めて行く場所だ。
バスが出発する駅で、学校帰りの娘と待ち合わせをする。
バス車内は結構空いていて、
好きな席に座れた。
最初娘と二人掛けのシートに座ったが、
お互いダウンコートがモコモコして窮屈なので(笑)
別々の席に座ることにした。
娘は早速スマホにかじりついている。
車窓からの風景、見ないんかい?
娘「いい、ゲームがしたいから」
あ、そう。
もったいない、楽しいのに。
一方、私はバスに乗ると、
すぐに窓に張り付き景色を眺め始めた。
各々の店、住宅、神社、スーパー他、
初めて見る風景は、いくら見ても飽きることがない。
ただぼんやり見ているだけだけれど、
なぜこんなに無心に見ていられるのだろう、
と不思議に思いながら、
ひたすら景色に見入っていた。
と、女子校生の一団が歩いている。
制服を着て、背中に楽器を背負っている。
軽音クラブだろうか。
きゃっきゃと、じゃれ合いながら歩いている。
互いに手で小突き合ったり、体をぐるぐる回したりしながら、
笑い声が聞こえてきそうな程のリアクションである。
寒風吹きすさぶ中、寒さもなんのその、
短いスカートに生命の強さを感じる。
箸が転んでもおかしい年頃、という言葉が頭に浮かぶ。
何でも楽しい、そんなキラキラまぶしく光っている年ごろ。
通路を隔てたシートに座っている娘を見る。
一心不乱にゲームをしている娘。
手の動きの素早い事、このすごい集中力。
これを勉強に生かして・・・
なんて野暮なことは思っていても言わない。
黙々とゲームに励む娘。
しかし、私は知っている。
ここにいる娘と学校にいる娘は、全くの別物であろうことを。
いや、そもそも娘がいろいろ話してくれるから、
知っているのだが(笑)
登校時に駅で友達と待ち合わせて、学校に向かう事、
重いリュックを背負いながらでも、
これから(面倒な)小テストが待っていようと、
寒さの中をひたすら走る持久走が待っていようと、
友達とお喋りしながら向かう道のりは、
全然苦でない、むしろお喋りが体のエネルギーとなり、
その日の活力となる事を。
キャッキャと笑ったり
ふざけ合っているであろう娘の姿を、
私は知っている。
(本当は望遠鏡でこっそり眺めてみたいものだ)
バスの窓に張り付いている母と、
ゲームにのめりこんでいる娘、
こんな二人を乗せたバスは、間もなく目的地に着く。
バスの旅もいいね、
幸か不幸か、当面時々通院することになる。
付き添いの私は、肉体的には「不幸」だが、
娘と一緒のバス旅は「幸」になるだろう。
まー、バスの中で心行くまでゲームをしていなさい、娘よ。